時事

ナイトZOOを子供と楽しむつもりが人間のエゴだと気づいてしまった

pikotsu

ぴこつです。

夏休みの夜、小学3年生の娘を連れて『ナイトZOO』に初めて行ってきました。
今回訪れたのは愛知県の『東山動植物物園』です。

東山動植物園

引用:東山動植物園HP

ぼく自身も前々からすごく興味があったんですよね。

動物園でなくても、普段は入ることのできない夜の施設に入っていけちゃうのって何かワクワクしませんか?

子供の頃、ただ夜に出かけるというだけでちょっとイケナイ事をしているような気がして、でもそれが快感だったってこと、ありますよね。

そんな子供心を胸に抱いて初めて行った『ナイトZOO』でしたが、そこで感じたのは行く前には予想もしていなかった思いでした。

その思いも含めて、ナイトZOO初体験の感想をお伝えします。

ナイトZOOの良かったところ

  • 涼しくて歩き回るのがラク
  • 灯りがキレイ
  • 飲食店が割と空いている
  • 昼間には見られない動物の姿が見られた(でもわずか)
最初に、ナイトZOOに行って良かったと思ったところはこんな感じ。
本当はこのような『良かったよー!!』をたくさん伝えるつもりで
ナイトZOOに行ったんです。

ところが・・・

気づきを得た部分は自分でも予想に反してもっと別のところにあったので、このセクションはこのくらいにおさえます。

ナイトZOOより『ナイトサファリ』の方がいいかも

ナイトZOO_イメージ
引用:東山動植物園HP

ナイトZOOで期待していたイメージはこれです。

昼間は岩の上で寝ているだけのライオン。
ちょっとムクッと顔を上げただけで
「あっ!今動いた!」
という、なんとも健気な感動を感じるだけだったのが、
夜行性だから夜に行けば闇の中を威風堂々と歩いているライオンの姿が見られる!

との大きく膨らむ想像を胸に行きました。

・・・が、実際には
IMG_5909

昼間とは違い、トラやライオンは外ではなく獣舎に戻った動物たちをオリ越しに眺めるだけの形になっていました。しかも、混雑しているので立ち止まらずに流れるように見て歩くだけ。

確かに動いてはいます。ウロウロしています。

でもやっぱり、
「なんか違うな・・・」
感は否めなかったです。

もしかしたら、トラやライオンを見に行ったのが閉園時間に近かったからかもしれません。

コアラも立ち止まって見ることはできませんが、こちらはガラス越しで、動き回って餌を食べているコアラの姿は確かに新鮮でした。

ただ、動いていたのは5頭ほどいる内の1頭だけでしたが。
あとはやはり昼間と同じように木にしがみついて餌をムシャムシャ食べているコアラでした。

他にも、昼間とは違って気温も下がり、活動的になっていた動物も何種類かは居ました。

でも、大半は昼間と同じ姿を見せていたような気がします。
夏は暑いので、夜行性だろうがそうでなかろうが、みんな昼はノビています。人間でも同じですよね。

それが夜になると、涼しくなって少しだけ活動的になる。

それがナイトZOOの特徴な気がします。

それから、もしかしたらこれが「動物園」ではなく「サファリパーク」だったら、どんな動物は常に外にいるので、もう少し動き回っている夜行性の動物が見られたのかもしれない。

くしくも、ナイトZOOを見に行って抱いたのは「ナイトサファリ」への新たな期待でした。

騒いでいるのは人間だけ

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ナイトZOOは夜のイベントなので、やっぱりどこかお祭り的なノリでした。
そこにはぼくも特に違和感もありませんでした。

ライブイベントをしていたり、普段はないような出店が出ていたり。

ワイワイやっていましたよ。ぼくと子供は動物が見たかったのでそこには行きませんでしたが。
ただ、参加していないからというのもあるんでしょうが、違和感がありました。

普段は静かになる夜の動物園で、獣舎に戻った動物たちと、照明で赤々と照らされた会場でワイワイはしゃいでいる人間。

なんかそのテンションの違いには虚しさを覚えました。

動物にとってはただのサービス残業

20170816_1

考えてみたら。
昼はグダグダしていてもやはり夏休みでたくさんの人が訪れる。
ワイワイ騒いで見物されるのはいつもと同じなので、動物もさほどストレスを感じるようなことはないと思います。

ですが、

いつもなら獣舎に戻ってゆっくりしてる動物。涼しくなって自由に動き回る夜行性の動物。暗くなって眠りにつく草食動物。

みんなに共通するのは、この時間はいつもなら見物客などいないということ。

もちろん、ナイトZOOのことを事前に知らされて、訓練されていたりなどということはないはずです。
そんな動物たちがいつものように過ごしていたら、お客さんが絶えず「自分の時間」に踏み入ってくる。

きっと気が休まることはないんでしょうね。人間のように残業手当が出るわけでもなし。

なんか書いててだんだん気の毒になってきました。

ナイトZOOは人間の勝手な欲望の産物

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そもそも「ナイトZOO」のコンセプトってなんなんでしょうか?

  • 夜にしか見せない動物の姿が見られる
  • 涼しくなるといつものように動く動物の姿が見られる
  • 緑の照明で照らされた幻想的な景色の中で動物が見られる
  • 暑くて歩き疲れることがない
といったところでしょうか。

そう、全部人間の都合なんです。動物はいつもと変わらない生活を送っているだけかもしれませんが、それでもいつもならくつろいでいるところを明かりで照らされたり、たくさんの人に見られたりするわけです。いい迷惑ですよねきっと。

とはいえ、人間であるぼくもそんな動物たちが見られたことは楽しかった。

楽しかったけど、なんか申し訳ない気持ちもありました。

飼育員さんも実はもどかしい

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引用:Plaiaden

写真は東山動物園ではちょっと有名なイケメン飼育員(行った後で知りました)の「渡邉友治さん」。
閉園間際に訪れたライオン舎の入り口に立って観客を誘導しておられました。

ぼくと娘はちょうどその渡邊さんの前で一旦止まったので、話しかけてみました。

ぴこつ :「ライオン、動いてますか?」
渡邊さん:「ここからじゃ見えませんけど、お客さんの反応を見ていると動いてそうです」

ぴこつ :「そうですね。見えませんね。笑」

ぴこつ :「やっぱり昼よりも夜の方が活発に動くんですか?」

渡邊さん:「・・・いやぁ、これだけお客さんがたくさんみえて騒がしいと、萎縮しちゃってます。苦笑」

ぼくは胸がズキッと痛みました。

それまでは正直なところ、ライオンやトラなどの夜行性の動物も

「なんだよオリの中かよ」

なんて冷ややかな気持ちで見てしまっていたのですが、動物側の感情はこれっぽっちも考えていませんでした。

ですが、このお話をうかがった時に、それまでぼくがなんとなく抱いていたモヤモヤがはっきりしました。

ナイトZOOで楽しむのは人間だけだということ。

ナイトZOOが動物にとっては迷惑でしかないということ。

飼育員さんたちも

「お客さんには喜んでほしいけれど、動物たちもかわいそう」

というジレンマを抱えていること。

もちろん飼育員さんたちも昼の営業にはない気づかいや作業も多々あり、お疲れだと思います。

それを思うと、先ほどの飼育員さんの声はぼくの胸に重く残りました。

ナイトZOOに対する客視点の改善提案

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それらを踏まえて、ぼくが感じたナイトZOOへの改善点をあげて見たいと思います。

  1. 人間が勝手に盛り上がるだけの“お祭り感”はいらない
  2. 動物を尊重した見物に徹する
  3. 獣舎ではとにかく静かに見る
  4. ナイトZOOで見物できる動物を一部に絞る
  5. ナイトZOOの楽しみ方を注意点含めて丁寧に説明する
1 については、本当に人間の独りよがりだけなので要らないと思います。
動物が夜に見せる姿を見せたいのであれば、動物が「いつもと違う」というように感じてしまうイベントなどは控えるべきかと。

2 は見る人、見せる人の配慮。やはり普段通りの動物が見たいのであれば、1と同様、極力派手な演出は控えるべきだし、動物を怖がらせないような振る舞いが必要だと思います。見る側も動物を刺激するようなこと(急に走ったりとか)を避ける努力はしていいんじゃないでしょうか。

3 はそのままなんですが、ナイトZOOに行ってすごく気になりました。獣舎って、声がものすごく響くんですよね。
だからやっぱり壁には「お静かに」のようなプレートが掲げてありました。

にもかかわらずお客さんたちは一様に声をあげて見物している。
でもそれよりも気になったのが、一部の飼育員さんの行動でした。

すごく頑張ってました。
頑張って誘導してました・・・

大声を張り上げて。

「立ち止まらないでくださーい!!」

て、声を枯らしながらね。必死に訴えてました。

あれは動物も相当ビビっちゃうと思いますよ。

4 は、動物園で見られる動物ってものすごい数なんですけど、やっぱり夜に見て楽しめる動物達は数が限られてると思うんですよ。
タダでさえ広い動物園で、わけもわからず全ての動物を見に行っていたのでは時間も勿体無いし、効率も悪い。それならば見られる動物(見ても問題ない動物)を絞って、そこだけ見られるようにした方が見る側もありがたいと思うんですが、どうですかね?

最後の5 は、純粋に観客への配慮が少し足りない気がします。確かにナイトZOO用のパンフレットはありますし、マップにも注目の動物は書いてあります。
しかし、こと“見方”に関する注意点や、各動物のどういったところがみどころなのかが具体的に記されてはいません。
このようなことを説明するだけでも、観客がどこに注目してみればいいのかがわかり、もっとスムーズに流れるんではないでしょうか?

まとめ

いかがですか?

なんか終始、ナイトZOOをdisってるような感じを持たれてしまっていないか心配なのですが、決してそんなつもりはありません。
企画としてはとても面白い試みだと思いますし、夏のイベントとしてもプレミアム感はあると思います。

そして、今回は東山動物園だけの話ですので、他の動物園ではまた違った試みやコンセプトがあり、一概に「人間の都合を押し付けている」との印象があるわけでもないと思います。

やはり、期間限定なだけに改善点などもまだ収集しきれていないということもあるでしょう。

でも、どの動物園においても、動物の気持ちや普段の生活のことを第一に考えた企画であってほしいなと思いました。

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ちなみに・・・

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成人マンガ家の夫 兼マネージャー
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