マンガ『あーとかうーしか言えない』を読んだらうーとなった話
マンガ家nikoのパートナー、ぴこつです。
いや。衝撃的な出会いでした。
最近、マンガ『あーとかうーしか言えない』と出会ってしまいました。
正直なところ、ぼくはこの作品に興味を引かれたのと同時思ったことは
本当に読んでいいのだろうか?
でした。
主人公は
成人マンガ家の「戸田聖子」という女性。
それと
その担当編集者でこちらも女性の
「タナカ カツミ」。
興味が湧かないわけがありません。
マンガ家「戸田さん」は成人マンガを”好きな”仕事として生きる人。
編集の「タナカさん」はマンガ好きだけど成人(エロ)に興味はなく、でも戸田さんのパートナーとなる人物。
この二人の境遇、反則です。
ぼくと妻のnikoの関係と完全にリンクしてしまいました。
注)監修はしておりません!(調子に乗りすぎ)
このマンガはネットニュースで偶然発見しました。
あらすじを読んで一気に沸いたのと同時に読むことをためらう自分もいる。
でも、それと同時に「読まなくてはいけない」と妙な使命感にも狩られましたw
迷っているよりも気になるならその直感を信じて読もう!
と全4巻をポチりました。
そんな感じで実際に2巻まで読んだ、ぼくの率直な今の感想をお伝えします。
主人公のマンガ家に必然的に興味を引かれた
主人公は成人マンガ家を志望し、東京にやってきた新人の「戸田聖子」。
言葉が出て来るまでにものすごく時間がかかるため、その間は「あー」と「うー」しか声を発せません。
物語は成人マンガ誌、『月刊X+C(エクスタシー)』の編集部員、「タナカカツミ」の元に戸田さんが原稿を持ち込んだところから始まります。
マンガ家を題材とした作品は他にもありますが、この登場人物の書いているジャンルは「成人(エロ)」。
この境遇に、ぼくはパートナー(妻)nikoを重ねざるを得ず、とてつもなく興味を引かれました。
一方、新人編集者のタナカさんはというと…こちらはマンガは好きでも成人にはまだ興味がなく、成り行きで成人マンガの担当編集に。
でも、同僚編集者の作品にかける熱意と好奇心を目の当たりにし、「自分も成人(エロ)を好きになりたい」との思いを募らせていました。
戸田さんは過去に何か特殊な経験をして事情を抱えている様子。
その経験で得たであろう独特な感性が、タナカさんの元に持ち込んだ自身のマンガにぶつけられています。
その特殊性が彼女の武器であり、新人編集のタナカさんを始め、編集長もその才覚に一気に魅了されます。
戸田さんに秘められた成人マンガへの強い想いはどこから来ているのか?
ぼくを含めて、これを手に取った読者ならば必ずそんな好奇心を抱くはずです。
ぼくの境遇から見て読むべき運命の作品
ぼくはマンガ家の戸田さんとnikoを重ね合わせました。
nikoに戸田さんのような飛び抜けた才能や独特の感性があるのかなんていうのは、ぼくにはわかりません。
でも、きっと「成人(エロ)マンガ」に対する想いは通じるところがあるんじゃないかと、勝手に思っています。
というよりも、そうであって欲しいなっていうぼくの願望なのかもしれません。
何度も言っていますが、nikoはぼくの妻でパートナー。成人(エロ)マンガを書いています。
でもぼくはその成人(エロ)が好きかと言われたら、そうではない。
そこも作中の編集者である「タナカさん」と同じです。
むしろそういった作品の作られ方やルールみたいなものもよくわかっていない。
ボクがサポートできるとしたら契約のこととか、経理の事とか、あとはnikoが考えるストーリーで表現しきれない部分を肉付けしてあげる…とかくらい。
エロ部分に対しては、もしも意見を求められたとしても何も答えてあげられることはありません。
じゃあなんでnikoを応援しているのか?
答えは割とシンプルで、
nikoが成人(エロ)でやりがいを持って楽しそうに描いている姿が好きだから。
※「楽しそうに」とは言っても、もちろん描いている時は苦しそうに描いてますけどねw
ぼくは、自分自身の表現力でクリエイターとしてお金を稼ぐことのできる「プロ」をリスペクトしています。
それはぼく自信がそういう生き方ができていないからだと思うんです。
nikoは、ぼくのいちばん近くにいるプロのクリエイターです。
だからこそ、nikoがどんな気持ちで成人(エロ)作品に向き合っているのかが純粋に知りたいんですよね。
そんな境遇は担当編集のタナカさんに通じるものがありました。
また、その答えを少しでもこのマンガから得られたらいいなっていう気持ちで読んでいます。
成人マンガ家という設定がリアリティを生み出す
マンガそのものに話を戻すと、この成人マンガ家という設定、なんかすごく現実的というか逃げてないなって思いました。
それが挑戦であり、尖りでもあるなと。
主人公の戸田さんが「あー」とか「うー」しか言えないのと相まって、キャラがめちゃくちゃ立っています。
これが少年誌のマンガ家だったのなら、情熱や友情と言ったことが「陽」の表現で描かれていたはずです。
でもこの作品では確かに情熱とか友情とかっていう要素もあるとは思うんですが、もっと内面的に深い部分を掘り進めていくような「陰」の表現が使われている気がします。
また、少年誌とかの王道よりも成人誌(エロ)の特殊性とか、成人誌業界内の常識みたいな部分までも知ることができるというのが、この作品の見どころでもあるなと。
あとは、主人公が「天才マンガ家」であることは間違いないとは思うんですが・・・
一方で、現実世界でマンガ家になるためにどんなことをすればいいのか?
ていう課題も示してくれているような気がします。
特に成人(エロ)マンガでマンガ家を目指すてためには、こんなルートがあるんだなって気づきが得られると思います。
実際に、nikoが同人作家から商業デビューした流れも、この作中で描かれていることに近いものがありましたし。
マンガ制作チームスタッフへの思いが込められている
もう一つ、原作者の「近藤笑真」さんの制作スタッフへの想いも伝わります。
作中の合間には、アシスタントさんが担当されたページや、作画を担当されたキャラなどの紹介もあり、アシスタントさんとチームで作り上げているんだなということがわかります。
丁寧に説明をされているところを見て、アシスタントさんに敬意を払ってお仕事をされていることが伝わってくるし、その部分でもnikoにつながる部分があるなと思います。
nikoは、今は一人の常に信頼がおける方にアシスタントのお願いをしています。
その方にはいつも本当にnikoを助けていただいているので、「あーとかうーしか言えない」で、たとえ何人ものアシスタントさんと描かれていていも、すべてのアシスタントさんに対して同じように敬意を払われているところは、とても気持ちがよかったです。
まとめますと
作品に対する想いがあふれてひたすらに描きまくってしまいました。ごめんなさい。
なので以下に『あーとかうーしか言えない』の魅力をまとめます!
- 成人(エロ)マンガを題材としたマンガ家の物語
- 成人マンガ業界のリアルな実情が描かれている
- マンガ家と担当編集者の思考のギャップの埋め方にも注目
- アシスタントさんとの明確な分担によるチーム制作
- 主人公ふたりはnikoとぴこつの関係に近い(?)
ぼくがこの作品に出会った2021年6月現在ですでに完結されていますが、ぼくはまだ途中までしか読めていないので、続きを楽しみに読みたいと思います。
読み終わった方と一緒に成人(エロ)マンガについて語ってみたいです。
おまけ(読まなくてもいいやつ)
ここからはおもいっきりぼくの勝手な妄想なんですが・・・
このマンガのキャラの立ち方や、いわゆる「伏線」は見切り発車だったんじゃないかなと思ました。
誤解しないでほしいのは、「それがいけない」とか「それどうなの?」っていう話ではまったくありません。
なぜなら、nikoの同人活動時代にぼくがプロット作成でやっていたからです。
「あとからなんとかしよう」
いや、ちょっと無謀に聞こえるな…
「なんとかなるだろう」
いや、これだと投げやりか…
「この子(登場人物)がなんとかしてくれる」
うーん他力本願か?
・・・とにかく、表現が難しいんですが、物語が進むに連れて成長していくキャラクターとか、これから起こる事が自然とつじつまを合わせてくれる。
みたいな妙な安心感が出てくるんです。
(その時点では自信なんてありませんが)
もちろん自分に何も響かないような作品だったらそんなことは起こりません。
書いている自分自身がキャラクターに魅力を感じたり、ストーリーにおもしろ味を感じた時にそんな感覚になることがある。
ものすごく偉そうなことをいうと、そんな感じですw